PSワイヤラインサンプリング工法
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KOKENのロータリーパーカッションドリル「アロードリル」シリーズの専用ツールとして開発され、かつての科学技術庁から「注目発明賞」を受賞した、パーカッションワイヤラインサンプリング工法。
コンパクトな専用ツールスとアロードリルの組み合わせにより、省力化を実現しつつ極めて精密な前方土質サンプリングを実現しました。
垂直はもちろん水平、斜掘を問わずサンプリングが行えることからコンパクトタイプのアロードリルと組み合わせてシールドマシンなどに搭載され、トンネル切羽の前方探査にも多く採用されています。
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PL-WL工法ツールス構成
PS-WL構成図の説明
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アウターチューブアセンブリー
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インナーチューブアセンブリー
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コアバレルヘッドアセンブリー
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(右)インナーチューブに接続されているコアバレルヘッドアセンブリー。
スプリットチューブ
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ワイヤラインウォータースイベル
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(右)オーバーショットを圧送するところ。リング状のものがウォータースイベル。
オーバーショット
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(右)オーバーショットを圧送するところ。
PL-WL施工手順
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このウォータースイベルは、回収器具をロッド先端まで水で圧送するためのツールです。
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このオーバーショットで接続されるとインナーチューブアセンブリーとアウターロッドとの接続が切れます。
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オーバーショットとインナーチューブアセンブリーとがラッチで接続されると、インナーチューブアセンブリとアウターロッドとは接続が解除されます。
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一方、さらにサンプリングを行うために新たなインナーチューブアセンブリを水圧で圧送します。圧送されるとアウターロッドに自動で接続されます。こののち本工程を①から繰り返します。
サンプリング結果の例
写真は、北海道でのトンネル掘さく切羽において、当社のお客様であるライト工業㈱殿が、“パーカッション・ワイヤラインサンプラー PS89” を用いて施工された調査ボーリングの結果で、写真に示す通りほぼ100%に近い回収率を達成されました。
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軟性土から硬岩まで、幅広い地層を一気にサンプリングできます。この時は風化および変質の度合いにより岩質の変化が著しく、コアのほとんどが粘土化している状態でした。コア写真が示すように毎分1トン以上の湧水量にもかかわらず100%のコア採取を達成しました。
この深度20m地点までは、強く変質した粘土状のコアが主体
この付近では礫状のコアが主体。比較的硬質。
この付近のコアは硬質な岩片状となっていた。
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深度50mを過ぎると褐色~茶褐色を帯びた粘土状のコアと灰色を帯びた比較的硬質な礫状のコアが、約8mおきに交互に現れるようになりました。
この深度60m+地点では、粘土状のコアが見える
この付近では礫状のコアが主体。比較的硬質。粘土状コアとの色の違いがはっきりしている
これ以降、上部の地層変化が繰り返し表れているのがわかる
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深度120mまでは茶褐色や灰褐色を帯びた岩片状~礫状のコアが主体で、それ以降は灰色を帯びた粘土状のコアが続くという地層状況でした。
この深度120m地点付近までは、浅層、中層と違い、茶褐色、褐色のコアが岩片、礫で硬質な地質
これ以降は粘土状のコアが主体。こちらも浅層、中層とちがい、黒っぽい色が粘土状の軟地質
PS-WL工法適応機種
かつてのサンプリングでは、当該地質をサンプリングした後、一度ロッドをすべて引き抜いてサンプラー(コア)を取り出していましたが、掘削済みのサンプラーだけをワイヤーで取り出すというこのパーカッションワイヤラインサンプリング工法の登場は、アロードリルシリーズの急速穿孔能力と相まって地質サンプリングの工期と精度において飛躍的な向上をもたらしました。以来、PS-WL工法とアロードリルとの組み合わせは、当社の工法、機械製造において中核を構成し続けています。
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RPD-100TA
PS-WL工法の迅速な地質サンプリング能力を応用し、トンネル掘削用シールドマシンそのものに搭載できるRPD-100TAが誕生しました。シールドマシンのトンネル掘削に先立って、まずPS-WLを行って前方の地質に帯水層などの危険な地層の有無を確認するためのシールドマシン搭載専用機です。
型式 | RPD-100TA | |
掘削口径 | mm | max.157 |
打撃数 | bpm | 2200/3000 |
回転数 | rpm | max.70 |
トルク | N-m | 790 |
打撃エネルギー | J | 75/45 |
スラスト | kN | 60 |
ストローク長 | mm | 2060 |
機体寸法(L/W/H) | mm | 5420/1100/1850 |
質量 | kg | 12000 |
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RPD-130SL-K2-OY
このRPD-130SL-K2-OYもシールドマシンの搭載を前提に設計されました。シールドマシンの型式や、トンネル工事の方法の違いなどにより、このシールドマシン搭載用RPDアロードリルシリーズも様々な型や仕様の違いが生まれてきます。このRPD-130SL-K2-OYは、上記のRPD-100TAと比べて、母機のシールドマシンにビルトインされる前提で製作されており、より大きな掘削径が可能となっています。
型式 | RPD-130SL-K2-OY | |
掘削口径 | mm | max.225 |
打撃数 | bpm | 2200/3000 |
回転数 | rpm | max.72 |
トルク | N-m | 790 |
打撃エネルギー | J | 75/43 |
スラスト | kN | 60 |
ストローク長 | mm | 1650 |
機体寸法(L/W/H) | mm | 3190/1650/1400 |
質量 | kg | 2700 |
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シールドマシン(TBM)搭載イメージ
この図はシールドマシンにRPDアロードリルを搭載し、PS-WL工法による先進サンプリング掘削を行うイメージ図です。
シールドマシン、TBM(トンネルボーリングマシン)にもさまざまな型があり、それに合わせたカスタムアロードリルを当社はこれまでに納入してまいりました。
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RPD-50TT
このRPD-50TTは当社のRPDアロードリルの中でも垂直方向のPS-WL工法に最も適した機種です。ガイドセル後端のウインチはワイヤーラインサンプラーの回収に役立ちます。また、動力セパレート式で、ドリル本体のクローラー幅が可変式のため、狭隘な場所でも作業が行えるのも大きな特徴です。
型式 | RPD-50TT | |
掘削口径 | mm | max.157 |
打撃数 | bpm | 2200 |
回転数 | rpm | max.38 |
トルク | N-m | 490 |
打撃エネルギー | J | 75/45 |
スラスト | kN | 20/60 |
ストローク長 | mm | 1700 |
機体寸法(L/W/H) | mm | 4150/1400/1800 |
質量 | kg | 2500 |
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RPD-160C
PS-WL工法のもつ迅速なサンプリング作業性とRPDアロードリルの急速穿孔力の組み合わせは、連続掘削や多点掘削にきわめて適しています。そのため、移動が容易なクローラー搭載型アロードリルが多く使われています。